【黒柿】碁笥　一対

黒柿は 樹齢数百年を超える柿の古木の中に ごくまれに現れる特別な木です。

木が長い年月をかけて 土から水とともに吸収した成分が内部で反応し 墨で描いたような黒い紋様が自然に現れたものを黒柿と呼びます。

古来より珍重され 正倉院にも黒柿の木工品が残されています。

人工的に生み出すことはできず 現れる紋様に同じものはありません。

紋様の出方や色味は一点ごとに異なり 写真と異なる場合があります。

唯一無二の表情こそが 黒柿の大きな魅力です。

碁笥には 木目が整い 厚みのある黒柿材が必要とされます。

黒柿はもともと得られる量が極めて少なく その中で碁笥に適した材は さらに限られます。

厚みのある黒柿は 乾燥が非常に難しく わずかな判断の誤りが 割れや狂いにつながります。

適切でない材を選べば すべてが無駄になってしまうこともあります。

だからこそ 碁笥を作るのは 特別な黒柿の材と出会えた時だけです。

作らないという判断を含めて 材を見極めることそのものが 技術であると考えています。

おかや木芸では 木の状態を慎重に見極め 無理をせず 確信を持てるときにのみ 碁笥の制作を行っています。

長く使い続ける道具として ふさわしいものだけを お届けしたいと考えています。